同じ「卸売業」であっても、
業務の内容には部門ごとの個性が
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卸売業は、産地やメーカーと、小売業や外食産業などとの間をつないで、さまざまな商品を消費者に届ける仕事。私が所属する畜産事業部では、国産・輸入の牛・豚・鶏などの食肉、またその加工品を仕入れ、お取引先に販売しています。営業職は各人が仕入れと販売の双方を担っており、私はマーチャンダイザー(商品政策立案者、MD)として羊肉・馬肉の仕入れと商品企画を担当する一方で、新潟・北関東エリアの量販店への販売担当も務めています。
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水産事業部でも、営業職が全国の漁港から魚を調達し、担当する小売業などに販売しています。魚種ごとに担当が分かれており、私は入社以来マグロ一筋。生マグロから冷凍品、加工品、種類もクロマグロにメバチマグロ、ビンチョウマグロなど、マグロと名の付くものであればなんでも取り扱っています。
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デイリー食品課では、豆腐や納豆、練製品、乳製品などの日配品を幅広く取り扱っています。私は和日配のMDと長野県・新潟県の小売業への販売を担当しています。どの卸売業も同じメーカーの商品を扱えるため、いかに「マルイチならでは」の提案をお取引先に行えるかが腕の見せ所。担当する小売業の売上げ動向や、その時々の流行、消費者の好みなどを踏まえて売り場の商品構成を考えます。付加価値提供の一環としてオリジナル商品を開発し、お取引先に納品するといったメーカー的な取り組みも行っています。
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基本的な業務形態は共通していますが、その中にも部門ごとの個性があって面白いですね。畜産品は生鮮食品なので商談を素早く進めなければならない一方、価格が相場に左右され、どれくらいの量を仕入れいくらで販売するかの見通しを立てにくい点に度々苦労しています。お二人はどんな点に仕事の難しさ、厳しさを感じますか?
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水産物も気象状況や消費者動向などの影響を受けやすく、相場で価格が変動します。そのため、産地から最新情報を収集する、お取引先のニーズをこまめに聞き取る、といった対策を日頃から行っています。こうした情報がスムーズに入ってくるよう、産地やお取引先との信頼関係をつくっていくことも大切な仕事だと考えています。
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マルイチは長野発の企業で、デイリー事業も県内では高シェアを誇っています。現在は首都圏など他地域での事業拡大にも力を入れていますが、専門卸や大手卸など競合がしのぎを削る中で、どのように当社の持ち味を発揮してシェア拡大を実現していくかが課題。マルイチしかできない提案をお取引先にしていくため、中小メーカーの魅力ある商品を見出すほか、お取引先や消費者のニーズを踏まえて開発したオリジナル商品を取り揃えることも重要になっています。
調達力に物流対応力、
地場メーカーを発掘する力。
仕事の中で感じるマルイチの強みとは
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並み居る同業他社の中で存在感を発揮するためには、独自の強みを見出し、それを最大限活かしていくことが重要だと日々感じています。皆さんは日頃の業務の中で、どんな点がマルイチの強みだと捉えていますか?
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創業以来、培ってきた調達力は、やはりどこにも負けないマルイチの強み。全国どこの漁港であっても、水揚げされたばかりの旬の魚を仕入れることができます。フルアソート調達も当社ならではの取り組みです。水揚げされた魚を、サイズを問わずに丸ごと買い付け、小売業や外食産業への販売、干物加工、缶詰用と目的に合わせて大きさを分類し、それぞれ活用する。これは食品流通の川上にあたる産地に加工場やメーカーと、川下の小売業や外食産業との双方に強固な信頼関係を築いているマルイチだから展開できるビジネスです。物流の対応力も同業他社の中では群を抜いているのではないでしょうか。多くの物流会社と提携しており、国内のどこからでも商品をピックアップして、どこへでも速やかにお届けできる。大から少まで数量も限定せずに対応しています。
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この物流ネットワークは、畜産事業部やデイリー部門も活用していますよね。お取引先からの評価も高いです。また畜産事業部では、産地と連携してりんご和牛信州牛や信州米豚、信州ハーブ鶏といった独自商品を生み出しています。オリジナル商品はマルイチを通してしか扱えないもののため、魅力ある商品を数多く用意することが当社の競争力強化につながっていきます。
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入社後、長野支社で7年営業職を経験してから本部に異動して商品開発を担当し、2019年から再び長野支社で営業職としてお取引先に接しています。現場に戻って感じるのは、「大手メーカーの商品もいいけれど、地域でがんばっている地場メーカーの商品をもっと扱って応援したいし、そうすることで他社との差別化も図りたい」というお取引先の想い。良いものをつくっているけれどまだ世に広く知られていない、そういったメーカーを掘り起こして小売業につなぎ、消費者にお届けする。こうしたきめ細かさが求められるところでマルイチならではの存在意義を発揮できるのではないかと、今、考えています。直接メーカーを訪ねるといった“足を使う”情報収集の重要性を再認識し、改めて力を入れているところです。
「日本の豊かな食文化を守る」
使命を担いながら、さらなる飛躍を目指す
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現在、卸売業は岐路に立っています。しかし、国内外で生産された多彩な食材を各地の消費者が利用するためには、産地と小売業をつなぐ存在がやはり不可欠。そのような状況の中、当社がこれからも市場から求められ成長し続けるためには、自分たちに何が期待されているか、そしてどんな使命を担っているか、改めて見つめることが必要だと思います。私が感じるのは、付加価値を提供することの大切さ。例えば、商品をそのまま売り場に並べられるパック肉に加工して納品することで、お取引先の加工工程の省力化に貢献できる。こうした「使い勝手の良さ」がお取引先から期待されていることを日々感じています。また、畜産に携わる立場として考えるのは、産地を大切にして良い商品を生産してもらい、小売業や外食産業を通じてそれを消費者に届けることで食文化に貢献できるのでは、ということ。後継者不足などの課題を抱えるところが増える中、マルイチが産地に関わる意義が、さらに大きくなってきていると感じます。
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「質の高い食材を消費者に届ける」というゴールを目指す時、産地もお取引先も、私たちの大切な仲間になる。マルイチに関わるすべての人を幸せにする、という強固な信念を持ちそのために行動していくことが会社の未来を拓くのでは、と思います。消費者に対しては、食のプランナーやコーディネーターとして働きかけていきたい。魚が食卓に上る機会が減っていると言われていますが、そこには捌くのが面倒だとか、定番メニュー以外の食べ方がわからない、といった消費者側の課題があります。けれど、「美味しい魚をライフスタイルに合わせて楽しみたい」という想いは根強くある。商品とともに課題の解決策を提供することに、これからさらに力を入れていかなければならないと考えています。
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日本の食文化を守り、より良い姿へ発展させていくために、私たちが担う役割は大きい。デイリー部門では、漬物や練製品も以前ほど売上げが伸びなくなっています。それは食べる機会が減っていることも一因では、と分析しています。まずは興味を持って手に取ってもらう、そして口にしてもらう。魅力的な商品展開と売り場づくりを通して、そうした「機会」を消費者に提供していきたいですね。
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目指すは「日本の中のマルイチ」として国内卸売業の中で唯一無二の存在となること、そして豊かな日本の食文化に貢献すること。部門はそれぞれでも志は一つだと、今回改めて実感しました。これからも挑戦心を原動力に、各自の領域で全力投球していきましょう!