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お魚をおいしく食べるコツ

旨味凝縮!「魚醤(ぎょしょう)」のはなし

魚醤とは

生の魚を塩で漬け込んで発酵させてできる、魚の持つ旨味成分を凝縮させた液体が「魚醤」です。大豆を発酵させて醤油を作るように、魚を発酵させて作る液体なので「魚醤」または「魚醤油(さかなじょうゆ)」と呼ばれ、料理に塩辛さと濃厚な旨味を加える働きをします。
旨味も濃厚ですが、実はにおいも濃厚です。魚を発酵、熟成させているため、動物性のタンパク質が分解された独特の風味を備えます。これが苦手という人も少なくありませんが、ほかの調味料では味わえない、料理の味を激変させるほどの深い旨味は、一度味わうとやみつきになるともいわれます。

世界に広がる魚醤文化

photo魚醤は、東アジアを中心とする世界各国で使われています。
その代表的なものが、タイの「ナムプラー」、ベトナムの「ニョクマム」(ヌクマムとも)、そして中国の「ユイルウ(魚露)」でしょう。
いずれもカタクチイワシの小魚=アンチョビなどを原料に、塩と一緒に漬け込んで発酵・熟成させた液体です。
材料も製法も似通っているのに、使ってみるとにおいも味も、又塩の加減も微妙に異なるのが不思議なところ。かつては入手困難で非常に高価な調味料でしたが、昨今は国内のスーパーやエスニックショップなどで気軽に手に入れることができるようになったので、ぜひお試しを。たいてい使いやすい小瓶で販売されています。

紀元前から

古代ローマ時代、ヨーロッパではアンチョビの内臓を原料とする「ガルム」という魚醤が日常的に使われたと伝えられます。
ローマ帝国の滅亡とともに衰退したとされ、その後、ウスターソースやさまざまなソースが主流になったそうですが、ウスターソースも、もとは小魚を発酵させた魚醤が起源。魚の旨味は世界共通のおいしさなんですね。
最近は現代人の味覚に合わせ、小魚や小エビを塩漬けにした新しいガルムが作られ、イタリアの味として人気を集めているようです。

日本三大魚醤

photo海に囲まれた日本では、古くから魚醤を調味料として使う伝統がありました。
日本三大魚醤と呼ばれるのが、秋田の「しょっつる」、能登の「いしる」、そして香川の「いかなご醤油」です。素材の違いから、味、香り、味わいが微妙に異なりますが、いずれ劣らぬ深い旨味を備えています。

◇しょっつる
ハタハタやイワシを塩漬けし、発酵させるもの
しょっつるは「塩魚汁」とも表記します。秋田のいくつかの業者が製造、市販しています。これで味付けする「しょっつる鍋」は秋田の郷土料理の代表。個性の強い香りを押さえたマイルドな製品も販売されています。

◇いしる
イワシやイカの内臓を塩漬けし、発酵させるもの
能登の代表的な調味料で、地元ではイカの内臓を原料とする「いしる」、イワシを原料とする「よしる」と使い分けているようです。「いしり」「よしり」とも呼びます。地元のいくつかの業者が製造、市販しています。香りは個性的ですが、慣れると普通の醤油代わりに使える(塩分は強いですが)ほどポピュラーな風味です。

◇いかなご醤油
イカナゴ(スズキ科の小魚)を塩漬けし、発酵させるもの
伝統の味でありながら、昭和にはいると大豆醤油の代用品的な位置づけとなり、昭和30年代以降、衰退してほとんど作られなくなりました。幸いにも近年、讃岐の味わいとして復活。地元の醤油業者が製造し、市販もされています。

肉や野菜をとびきりおいしくする魚醤一振り

photo いずれの魚醤も、料理に深い味わいを添える天然の旨味調味料です。加熱すると独特の臭みが増しますが、これも人によっては「くせになる」とか。味噌汁やすまし汁、うどんの煮汁などに一振り加えたり、煮物に加えたりするだけで、味にぐんと奥行きが増します。
また肉や野菜を炒める際に、塩こしょうや醤油の代わりに使うと、なんともいえない味わい深い一品に仕上がります。
魚同士だと、風味がぶつかって相性がやや悪い場合もあるのですが、貝や海藻類との相性は問題なし。煮物、焼き物におすすめです。
ただし塩分が強いので、醤油のつもりで使うと非常に塩辛くなってしまいます。慣れないうちは加減しながら。日本が誇る伝統の発酵食品の風味を、ぜひご体験くださいね。