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お魚をおいしく食べるコツ

つまと薬味のはなし

料理の名傍役、つま・薬味

料理の主役ではないけれど、主役の風味を引き立て、見た目の美しさも高める「つま」や「薬味」。食べる側にとっても、調理する側にとっても、重要な名脇役といえそうです。
生の刺身から煮物、焼き物、揚げ物まで、魚を材料とするさまざまな料理に欠かせない「つま」、「薬味」について、その意味、役割、種類などについて考えてみましょう。

つまは「妻」?

刺身に添える「つま」の漢字をご存じですか?
実は「妻」。女性の配偶者を表す「妻」と同じです。「妻」という言葉には、ほかにも「話のつま」のように、「主となるものに添えたり、あしらったりするもの」という意味があります。
「女房と添え物が同じ意味?」と怒る人もいそうですが、男女の性差や夫婦の役割に関する議論はさておき、ここでは「主役=刺身」の魅力を増す「名脇役=野菜や海藻の添え物」を、「妻」と表現する日本語の洒脱さを理解したいところです。野球で、ピッチャーに対するキャッチャーを「女房役」と呼ぶのに近い感覚ですね。
刺身に添えられた「つま」が「妻」…会食の場でちょっと話題になりそうな雑学ですね。

「千六本」って何?

「刺身のつま」といえば、真っ先に思い出すのは細長く切った大根ですね。料理屋さんで刺身が出される時も、魚屋さんで刺身をあつらえる時も、まず例外なく大根のつまが添えられています。料理の世界では、つまの切り方を「千六本」と呼ぶことから、つまそのものを「千六本」と呼ぶことも多いようです。
その語源は、中国語で大根を示す「ローボ」という言葉にあるといわれています。細く刻む切り方は「セン(繊)」。従って、大根の千切りは「センローボ」。これがいつしか「千六本」と呼ばれるようになったのだとか。
この語源が示すように、「千六本」は大根のことなので、同じように千切りした野菜のつまでも、ニンジンやキュウリは「千六本」とは呼びません。

つまの基本はやっぱり大根?

日本では古くから刺身を食する文化がありましたが、そこに現在のような大根のつまがいつ頃から添えられるようになったかは、よくわかっていません。ただ、この大根、単なる添え物ではなく、刺身から出る水分を吸収する「台」としての重要な役割を持っています。大根自体が水分を吸うのに加え、千切りの隙間から水分が皿に逃げ、上の刺身が水っぽい状態になることを防ぐのです。同じ千切りでも、キュウリやニンジンなどの素材は大根ほどには水を吸わないため、大根だけの白いつまに彩りを添える演出効果はあっても、大根の代用を努めることはできないというわけです。
「千六本」のつまは、生活の知恵から生まれた工夫だったというわけです。

つまがよごれないのはなぜ?

だいこんを切って放っておくと、すぐ変色してきますね。ところが、腕のいい職人さんが作ったつまや、鮮魚売り場でつけてくれたつまは、なかなか変色しません。「何か薬品を使っているのでは?」と不安になる人も多いようですが、必ずしもそうとは限りません。
家庭用の包丁で一般の人がつまを作る場合、包丁の鋭利さがまったく違う上、切るスピードも遅いために、切断面がぎざぎざして細胞が破壊され、空気に触れて酸化変色する可能性が高くなるのです。一方、プロの職人さんがスピーディーに切るつまや、鮮魚加工場の専用カッターで作るつまは、切断面がとてもなめらか。細胞の破壊も少ないために、変色しにくいというわけです。

つまの薬効

photo年配の方の中には、刺身のつまを「毒消し」と考えている人も多いようですが、それもあながち間違ったことではありません。もちろん刺身に毒があるわけではありませんが、生魚を食べた後の口の中をすっきりとさせ、生ものを食するリスクを軽減する上で、つまが大きな役割を果たすのです。
つまとして使われるのは、代表格の大根のほか、大葉(青ジソ)、セリ科の植物ハマボウフウ、海藻類、食用菊などです。
大根 大根に含まれるジアスターゼという酵素は、消化吸収を助け、胃をスッキリさせる働きがあります。
大葉 大葉には抗酸化作用や解毒作用があり、漢方では「解魚蟹毒」の生薬として知られています。漢方では、風邪を予防する働きも知られています。
ハマボウフウ ハマボウフウは「浜防風」という字があてられるように、風邪を予防するといわれる植物。大葉と似た働き持つ成分を含んでいます。
海草類 海草類はビタミンやミネラルが豊富で、胃腸の調子を整えるのにも効果があるといわれます。
食用菊 食用菊は見た目がきれいなだけでなく、血圧を下げ、気持ちをリラックスさせる効果があるといわれます。
いいことがいっぱいの刺身のつま。ぜひ残さずに食べるようにしたいものです

薬味のチカラ

「薬」と「味」を組み合わせた「薬味」は、まさにその字の通り薬効と風味をプラスする添え物のこと。そのほとんどが、漢方の世界で「生薬」として使われている植物で、先人の知恵には敬服するばかりです。
刺身に必ず添えられるわさびやシソをはじめ、調理法や素材に合わせて上手に使い分けたいものですね。
● わさび→刺身など
抗菌作用にすぐれ、生魚の生臭みを消す働きもあります。胃腸を爽快にし、食欲増進にも役立つといわれます。使うたびにすり下ろすのがおすすめ。
● シソ→刺身、カルパッチョ、煮魚、焼魚など
抗酸化作用に優れ、風味のよさ、彩りのよさでもピカイチの薬味です。赤ジソは花穂の部分を刺身に、また青ジソはきざんで添えたり、まぶしたり、飾り付けたりして使います。
● 土しょうが→刺身、煮魚など
すがすがしい香味を持ち、魚の生臭みを消します。血液の循環をよくし、身体を温めるはたらきもあり、風邪の予防などにも使われる野菜です。すり下ろして、きざんで、スライスして、料理の形態に合わせていろいろおためしください。
● ニンニク→たたき、煮魚、焼魚など
独特の香味に好き嫌いはありますが、身体をあたため、疲労回復によいとされる野菜です。すり下ろしても、スライスにしても使えます。脂との相性がよいので、炒めものにも重宝します。生食は胃腸への刺激が強いので、胃腸が弱い人が注意が必要です。
● 唐辛子→煮魚、焼魚、カルパッチョなど
製品化された粉状の唐辛子、タカノツメ、「コショウ」と呼ばれる青唐辛子など、調理や素材に応じて選んで使い分けましょう。身体をあたため、胃腸を活性化させて消化吸収を促進し、食欲を増進させるはたらきもあります。刺激が強いので、食べ過ぎには注意しましょう。