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特別対談

Challenge for Change
さらなる進化のため、挑戦は続く

1部昇格初年度で3位という大躍進を遂げ、今、最も勢いに乗る若きなでしこ「AC長野パルセイロ・レディース」を率いる本田美登里監督。
当社は2016シーズンからAC長野パルセイロ(トップチーム/レディースチーム)とスポンサー契約を結び、今年で2年目のシーズンを迎えます。
「長野のみなさんや社員のみんなともっと応援したい。そのために皆さんにもっとチームのことを知ってもらいたい―」そんな想いを胸に、本田監督へ藤沢社長との対談をオファーしたところ、快く引き受けてくださいました。
対談のコーディネーターとして、野菜ソムリエであり、サッカー4級審判員の資格を持つNAHOさんをお迎えし、サッカーのこと、マネジメントのこと、強い絆で結ばれた日本代表元主将・宮間あや選手との出会いなど、幅広いテーマでざっくばらんに語っていただいた「夢の対談」の様子をご紹介します。
本田美登里(Midori Honda)
1964年、静岡県清水市生まれ。「女子サッカー」という競技がない時代に男子に混ざり8歳でサッカーを始める。1980年の第1回全日本女子サッカー選手権に15歳で出場。1981年に初めて結成された日本代表チームのエースとしてアジア女子選手権に出場。1989年に発足した日本女子サッカーリーグ(現:なでしこリーグ)に旗揚げから参戦。1991年に第1回FIFA女子選手権(現:FIFA女子ワールドカップ)に27歳で出場。1993年に現役引退後は指導者の道へ。2001年から2011年には岡山湯郷Belle監督を務め、有力選手を育成。2005年のユニバーシアード世界大会で女性初の日本代表監督就任。2006年には指導者として最高峰のライセンスであるJFA公認S級コーチを女性として初めて取得。2013年にAC長野パルセイロ・レディースの監督に就任。
NAHO
フリーアナウンサー、野菜ソムリエ上級プロ。
長野県須坂市出身・在住。「野菜・果物の伝道師」として、料理教室、講演会、イベント、メディアなどで野菜・果物の魅力を楽しく、わかりやすく発信している。長野県より「おいしい信州ふーど(風土)」公使に任命される。また、サッカー好きが高じて、アスリートフードマイスター3級、サッカー4級審判員の資格を取得し、FMぜんこうじでパルセイロ応援番組「フォルサ☆パルセイロ」のパーソナリティーを担当(76.5MHz・毎週金曜日17:10〜17:40)。

「なでしこ1部リーグ」
怖いもの知らずで飛び込んだ未知の世界

NAHOさん(以下:NAHO) なでしこ1部リーグ昇格、そして初年度3位という好成績、おめでとうございます。2016年シーズンを振り返っていかがでしたか。
本田美登里監督(以下:本田) ありがとうございます。初めての1部だったこともあって、全てが未知の世界でした。ただ、うちは若い選手が非常に多かったので、怖いもの知らずで飛び込んでいって、その勢いのままシーズンが終了したという感じですかね。
NAHO チームから横山選手や國澤選手が、なでしこジャパン(日本女子代表)のメンバーに選出されました。ここ長野県から日本代表が生まれるというのは、私たち県民にとっても誇りですよね。
藤沢社長(以下:藤沢) そうですね。長野は都会と比べると、どうしてもイベントが少ないですから、地元をあげて、家族と一緒に応援できる、サッカーという一つの「エンターテイメント」が存在するというのは非常によいことだと思います。
  いやぁ、それにしても、シーズン中はこのまま優勝まで行ってしまうのではと、非常に胸が躍りましたね。
本田 「『レスターの奇跡(※1)』がパルセイロでもか!」と、 多くの人にあらぬ誤解を与えてしまった気がします(笑)。
NAHO ホーム試合の平均観客数では、なんとリーグ1位(3647人)!地方都市の長野でこれだけの集客力はすごいことですよね。
 観客数の急増は、リーグを戦っていく上で追い風になりましたか。
本田 最高に観客が入ったINAC神戸戦では、鮫島や川澄など相手チームに有名選手がいたことも影響したと思いますが、それでも6700人も入るっていうのは女子サッカーではあり得なかったですね。
 選手たち自身もサポーターの方々の熱い応援に感銘を受けていました。試合時間残り5分、応援スタンド側に攻撃に行く場面では、涙を流しながらプレーする選手もいましたね。相手チームがパルセイロサポーターの勢いに飲み込まれることもしばしば。そのような活気ある環境で戦えることは、非常にありがたいです。
NAHO 2点とられても3点取り返す、まさに「攻撃的サッカー」と呼ばれるプレースタイルが、多くのサポーターの心を惹きつけるのでしょうね。
藤沢 そのスタイルは、監督の方針なんですか?
本田 いえ、実は「2点取られたら3点取り返せ」なんてことは、今までミーティングで一度も言ったことはないんです。「今日は0点に抑えようね」っていつも言っているのに、なぜかそういう展開になってしまうという(笑)。
 試合開始早々に点をとられて、負けじと横山とかが果敢に点を取りに行って、取りに行って―。ふたを開けてみたら「5―4」で勝つとか。いつも試合は大荒れ…。今シーズンはもう少し落ち着いたゲームがしたいですね。
藤沢 目指すべきはやはり、1部リーグのチャンピオンですか。
本田 いやいや、去年はたまたま3位になってしまっただけで。私たちのチームは、会社で言ったらまだまだ中小企業だと思っています。歴史も財力もないかもしれませんが、地方都市ならではの特徴を出していきたいですね。それがもしかしたら「2点取られても、3点取り返す」というエンターテイメント性の強いゲーム展開につながっているのかもしれません。

相手が誰であれ「リスペクト」の心で

藤沢 観客にワクワクしてもらう試合にしようというのは、会社でいうと、いかにモノを売るかという「マーケティング」的な発想ですよね。
  会社経営でもう一つ大切なのが、いかにヒトを動かすかという「マネジメント」。監督と社長の役割はかなり共通する部分があると思うのですが、本田監督が選手たちをマネジメントする上で、最も気をつけていることは何ですか。
本田 私は「リスペクト」ですかね。選手であれ運営スタッフであれ、たとえ相手がどんなに年下だったとしても「聞く耳を持つ」ということを大切にしています。頭ごなしに叱るのではなく、まずは相手が何を考えているのかを丁寧に聞き出す。その上で「私はこう考えていたんだけど」って、それぞれの意見をすり合わせるようにしています。頭ごなしに叱られるのは、私が選手時代にされて一番嫌なことだったので。
藤沢 ここよくメモしておいて(笑)!我々マネジメントする側の人間が特に忘れがちなことだから。
本田 他チームの監督もそうですが、企業のトップの方とお話する機会が多いなかで、共通して「トップは孤独だな」と思いますね。スタッフや選手たちは私にとって仲間だしファミリーだし、いい関係を築けていますが、最終的に「判断を下す」のは自分ですから。
藤沢 「トップが孤独」というのはよく分かります。実は今日もこの対談の前に、久しぶりに社員食堂で昼食を食べてきましたが…私の周りだけ誰も座ろうとしない(笑)!
本田 私もですよ(笑)!合宿先の食事でも移動のバスの中でも、誰も隣に座ってくれないんですよね。やはり社長や監督の隣はみんな遠慮してしまうのでしょうねぇ。
藤沢 一人くらいNAHOさんのように、物怖じせずどんどん話しかけきてくれる人がいてもいいのにね(笑)。

愛弟子・宮間との出会い

藤沢 日本代表で主将を務めた宮間選手が以前、岡山湯郷Belle(※2)入りを決めたのは、恩師である本田監督の存在があったからと聞きました。宮間選手は監督をとてもリスペクトされていますよね。
本田 宮間はこれまで私が何千人と育ててきたなかで、ベスト3に入る選手。彼女が小学校5年生のときからの付き合いです。私とは年が20も離れていますが、出会った当時から彼女に対しても「リスペクト」していました。
藤沢 当時から「この子は大物になる」という予感はあったんですか。
本田 そうですね。小学生だからと手加減せず、大人と同様にこちらの考えを伝えても、きちんと自分の意見を返してきた。「賢い子だなぁ」と驚きましたね。
藤沢 印象的だったのは、W杯決勝でアメリカを破って大喜びしている時に、宮間選手1人だけがアメリカの選手に近づいていきましたよね。あれは、相手選手をリスペクトしてのことだったかと思います。 誰に対してもリスペクトする姿勢は本田監督から強く影響を受けているのではないでしょうか。
本田 宮間との会話で、今でもよく覚えている言葉があるんです。あれは宮間が小6か中1のとき、彼女に聞かれました。「監督、大人になるってどういうこと?」って。私はその時、たしか「人の痛みが分かること」と答えました。それから宮間はチームの中でへこんでいるメンバーを見つけてよく声をかけるようになりました。
藤沢 外見からすると、ものすごく気が強そうなのにね。
本田 ものすごいですよ(笑)。気の強さでは澤以上!なでしこイチじゃないかな。でも彼女は、人の痛みの分かる選手だと思います。

ポテンシャルを最大限に引き出したい

NAHO いよいよ2017年シーズンが開幕します。抱負をお聞かせください。
本田 昨シーズンは勢いだけで3位になってしまい、中身があったかと聞かれるとまだまだです。チームとして「底力」をつけていく必要があると思います。どんな相手でもドンと構えていられるような、安定感のある骨太のチームを作りたいですね。
NAHO 2017年のスローガンとして「一体感」を掲げていらっしゃいますが。
本田 スタッフと選手、レディースとトップチーム、経営陣と現場。みんながベクトルを一緒にしないと強固なチームにはなっていかないと思います。
  570名もの社員数の企業とはケタが違いますが、一体感の大切さは、社長もきっと強く感じられている部分じゃないでしょうか。
藤沢 まさにその通りです。考え方や能力がそれぞれ異なる人たちを、どのように活かし、どう一つにまとめていくかっていうのは非常に難しいですよね。どこまで社員に踏みこんでいいか悩ましいところです。
本田 うちのチームは特に、全国のチームから移籍してくる選手が多いんです。彼女たちの多くは、そのチームでなかなか出場機会に恵まれず、常に「試合に出たい」と強く思っている子たちです。だから、うちに来てくれた以上は、彼女たちの個性や素質を100%引き出してあげたい。
  反面、各々の能力を発揮させるだけでは、11人の動きがバラバラになってしまいます。例えば、横山なんて本当に「我が強い」選手ですが、その我の強さを抑えてしまうと彼女の良さをつぶすことになりかねない。1人で相手選手を3人も4人も抜いていくドリブラーなんて、優れているとも言えるし、自己中心的すぎるとも言えるし。監督としてどこまでコントロールするか、さじ加減が難しいところです。
  選手たちを一つにまとめあげるという点では、私もまだまだ手探り状態なので、選手たちとぶつかり合うこともしょっちゅうです。
藤沢 私どもも企業として厳しい環境に立たされ続けていますが、その中で常に「変わり続ける」組織でありたいと思っています。裏を返せば、変われない会社は生き残れないのだと、社員たちには日頃から伝えています。
本田 Challenge for Changeですね!
藤沢 社員のみんなには、変わることに臆病にならないでほしい。「こうしたい」「ああなりたい」という目的があれば、どんどん挑戦して、どんどん失敗して構わない。誰もそれを咎めません。
  反対に、変わろうとしない、チャレンジしないのはマイナスだと私は思います。そのためにも、社員が個々の能力を存分に発揮し、挑戦できる環境を用意しないといけないですね。今日、監督のお話を聞けて非常に勉強になりました。

長野には美味しいものがたくさん

NAHO 水産物を中心に様々な食料品を取り扱うマルイチさんですが、タンパク質豊富な「お魚」は、選手たちの身体づくりの上でも大切ですよね。 監督は選手への食事指導で気を付けていることはありますか。
本田 去年からコンディショニングコーチが入り、選手たちの栄養面をコントロールしてもらっています。それ以前は、私が母親的存在として「何を食べたの?」「昨日はどこへ行ったの?」などと選手たちのコンディションには常に気を配るようにしていました。
  國澤なんかはアメリカの大学に留学していたこともあって、お菓子やジャンクフードが大好物!「監督、代表に選ばれたらポテトチップス1ケース買ってもらえますか」なんて聞かれたこともあります(笑)。ただ、彼女もなでしこに行ってからは、食事にはだいぶ気を使うようになりましたね。
藤沢 うちの会社では、食品全般を広く取り扱っています。地域を元気にするために、食事や栄養面からも、もっともっとお力になれるかもしれないですね。
NAHO 長野の食べもので何かお好きなものはありますか。
本田 何でも好きですよ。長野にいると、山の幸だけでなく、美味しいものが何でも手に入っていいですね。
藤沢 今度どこかで長野の食を楽しむ「美味しいもの会」をやりませんか。素材はもちろん、うちが全て提供しますよ!
本田・NAHO ぜひ、よろしくお願いします!

最後に本田監督からメッセージをお願いします

本田 ぜひ、多くの皆さんにスタジアムに試合を観に来てほしいです。まだまだ小さなチームですが、活気ある雰囲気をスタジアムで一緒に体感してもらえたら。また、20〜30代の女性たちがピッチで懸命に走り回っている姿を見て、何か感じてもらえる部分があれば嬉しいですね。
藤沢 恥ずかしながら、実は私、まだ一度もスタジアムに行ったことがなくて…。今シーズンこそは必ずスタジアムに足を運びます!
本田 レディースの試合はだいたい13時から開始なので、終わるのがちょうど夕方。試合を観戦して疲れたところで、ぜひ「美味しいもの会」を(笑)。
藤沢 やりましょう!美味しいものを食べながら軽く一杯、なんて最高ですね。今からとても楽しみです!
  本田監督、今日はありがとうございました。これからも私たちマルイチ産商は、AC長野パルセイロ・レディースを全力で応援します!ぜひ、1部リーグ優勝を目指して頑張ってください!
本田 ありがとうございます!レディース、トップチームともども、さらなる応援をよろしくお願いします!
※1 レスターの奇跡・・・2016年、イングランド・プレミアリーグで、弱小クラブとされていたレスター・シティーFCが名だたる強豪をおさえて初優勝。メディアは「世紀の番狂わせ」と報じた。
※2 岡山湯郷Belle・・・岡山県美作市をホームタウンとする女子サッカークラブ。チーム発足時から本田氏が監督を務め、長野パルセイロ同様、なでしこ1部リーグへの昇格を果たした。